地域の力が未来を守る
西表島の外来種対策では、地域のみなさんの力が欠かせません。
行政による事業でも、現場で駆除や調査を担っているのは島の人たち。
その地道で熱心な取組みが、外来種の侵入や拡散を防ぐ大きな力になっています。


#外来種の脅威
わたしたちの取り組み
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ひそかに広がる外来植物
動物だけでなく、外来植物もまた深刻な問題を引き起こしています。特定外来生物に指定されている「ツルヒヨドリ」や「ボタンウキクサ」は、西表島への侵入がすでに確認されています。
ツルヒヨドリは、島内の数か所で見つかっており、継続的な点検と駆除によって、拡大を防ごうとしています。
ボタンウキクサは、2013年に一部の用水路で見つかって以来、根気強い駆除活動が続けられています。今ではだいぶ少なくなりましたが、まだ根絶には至っていません。
これらの植物は、茎や根を少しでも残してしまうと、そこからまた再生してしまうほどの強い生命力を持っています。機械での駆除が難しいため、一つひとつ人の手で取り除くしかありません。
特定外来生物に指定されているもの以外にも、さまざまな外来植物が確認されています。利用する目的があって持ち込まれたものもあれば、知らないうちに運ばれてきたものもあります。だからこそ、「持ち込まないこと」「早く気づくこと」が何より大切です。
西表財団では、地域のみなさんの「気づきの目」を増やしたり、身近な植物への関心を深めてもらうために、外来植物について学ぶイベントなどを開催しています。
早期発見で外来のカエルの侵入を防ぐ
外来のカエルもまた、まん延によって島の生態系に大きな影響を与えることが恐れられています。特定外来生物※に指定されている「オオヒキガエル」と「シロアゴガエル」は、すでに近隣の石垣島に定着しています。
西表島では、オオヒキガエルがこれまでに何度か目撃、捕獲されていますが、現在のところ定着や大規模な繁殖は確認されていません。一方、2015年にはシロアゴガエルの侵入と繁殖が確認されましたが、丁寧な駆除活動が実を結び、2019年には根絶が宣言されました。島内各地に配置された地元調査員による継続的なモニタリングが、早期発見と迅速な対応につながっています。
今も、外来カエルの侵入を水際で食い止めようと、日々の見守りが続けられています。
※特定外来生物
「特定外来生物」とは、海外が起源の外来種の内、生態系や人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがある種として、外来生物法によって指定されている生物です。これらには、飼育、栽培、輸入、放出、譲渡などを禁止する規制があります。


家畜から野生化したヤギ
西表島で今、深刻な問題となっている外来種のひとつが「ノヤギ」です。
ヤギは沖縄では古くから家畜として重宝され、食文化にも根づいています。西表島のノヤギも、もともとは人に飼われていた家畜でしたが、逃げ出したり放たれたりしたものが野生化し、山の奥深くまで縄張りを広げ、増え続けています。
ヤギは丈夫で繁殖力がとても強い上に、さまざまな草木を食べてしまうため、数が増えると本来の植生や生態系に大きな影響を与える可能性があります。
また、他の地域の例から、食害や踏み荒らされることによる植生破壊だけでなく、土壌の流出によって海洋環境にも影響を及ぼすことがわかっています。
沖縄県では、「沖縄県対策外来種リスト」において、ノヤギを「重点対策種」に指定し、個体数を減らす対策を進めていますが、広く険しい西表島の森で、ノヤギを捕獲するのは簡単ではありません。
県や環境省、地元の猟友会が協力し、地道な捕獲が続けられています。西表財団でも、捕獲の効率化に役立てるよう、GPSを用いたノヤギの行動追跡調査を行っています。
外来種とは?
外来種とは、本来その地域にいなかったにも関わらず、人間の活動によって持ち込まれてしまった生き物たちのこと。例えばペットとして飼っていた動物を野に放してしまったり、食用や観賞用に持ち込まれた植物が野生化したり、貨物や建材にくっついて運ばれてきたりと、そのきっかけはさまざまです。
外来種には繁殖力が強いものが多く、広がってしまうことによって、もともとその土地で生きてきた「在来種」が追いやられたり、地域の生態系そのものが壊されてしまう恐れがあるのです。
そのような特に影響の大きいものは「侵略的外来種」といわれ、対策が必要とされています。
西表島のように、固有種や絶滅危惧種が数多く生息する場所では、その存続に関わることにもなり、豊かな生物多様性を維持していく上では、脅威となり得るものです。


#外来種 #ノヤギ #カエル #外来植物
飛行機や船で、世界のどこにでも行ける時代。
西表島にも世界中から人が訪れ、物流の発達によって、
たいていの物は手に入るようになりました。
その便利さの裏側で、今、さまざまな場所で「外来種」の問題が深刻化しています。
西表財団の活動
○ ツルヒヨドリ等の防除·防除手法の検討
○ 外来植物防除に関する地域住民の参画推進
○ 外来カエル類の拡散防止
○ GPSによるノヤギの行動追跡調査







