
#漂着ゴミと向き合う
わたしたちの取り組み
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#漂着ゴミ #海洋プラスチック問題 #海洋ゴミ回収プロジェクト
美しいサンゴ礁の海に囲まれた西表島。海の水は透き通り、季節や日によってさまざまなブルーのグラデーションを見せてくれます 。
そんな美しい海の景色のすぐそばで目に入るのが、浜に打ちあがった大量のゴミです。
「どうしてこんなにたくさんのゴミが?」西表島を初めて訪れた人たちは、一様に驚きます。
海の向こうからやってくる漂着ゴミ
西表島の海岸には、毎日のように漂着ゴミが打ち寄せます。発泡スチロール、ペットボトル、浮き、ロープ、靴、洗剤の容器、歯ブラシまで…。
ペットボトルのラベルをよく見ると、外国語の文字が書かれていることがほとんどです。
実際、島に流れ着くゴミの9割以上は、海外からのものです。遠くの国や海上で捨てられたものが、海の上に浮かんだまま海流や風に乗って流され、漂着するのです。
特に冬の間は、「ミーニシ」と呼ばれる季節風が吹き続け、北から東に面した海岸には、風に運ばれて大量のゴミが押し寄せます。
西表島だけでなく、周辺の島々でも同じ問題を抱えています。


30年以上前から続く“拾う”活動
この問題に立ち向かってきたひとりが、「西表エコプロジェクト」代表の森本孝房さんです。
森本さんが地域の若者たちに声をかけ、ボランティアでビーチクリーンを始めたのは、30年以上も前のこと。今でも毎月ボランティアのビーチクリーンを主催し、ゴミを拾い続けています。
「ゴミがなくならないから、やめるわけにはいかない。行政が全部回収してくれる日が来たら、やっとやめられるかもしれないね。」
募金で活動資金を集め、森本さんの熱意と行動力で継続してきたビーチクリーン活動は、やがて全国で同じような活動をする人々と共に国会議員を動かし、平成21年に「海岸漂着物処理推進法」が施行されました。
この法律により海岸漂着物の処理は、海岸管理者である都道府県知事の責任であることが明確にされ、国が回収・処理の予算を都道府県に配分するようになったのです。
現在では行政による回収・処理も進められていますが、依然としてボランティアによる活動が大きな役割を果たしています。
それでも、漂着ゴミはなくなるどころか、年々増えているようにも思えます。
西表財団の取り組み
西表財団では、設立1年目から「手つかずの海洋ゴミ回収プロジェクト」に取り組んでいます。
西表島は海岸の総延長が約130kmにも及びますが、人が簡単に行ける海岸はごく一部。船でしか行けない場所のゴミは溜まっていく一方で、長い間誰の手も入らず、波風にさらされたままでした。
その様子に心を痛めていた西表財団の理事の提案で、このプロジェクトを立ち上げました。
島民ボランティアを募ってチャーター船を出し、無人の海岸へ。そこで回収したゴミは、すべて船に積み込み、港に戻ってからまた人力で降ろして分別します。
作業は体力も使い、通常のビーチクリーンよりもずっと費用も手間もかかりますが、民間の助成金や行政の補助金を活用して、継続しています。


拾い続けることの意味
「拾っても拾っても、また流れ着くのに、意味はあるの?」
そんな声を聞くこともあります。
漂着ゴミを放っておくと、プラスチックや発泡スチロールは、紫外線や潮風によってすぐに劣化し、徐々に細かく砕けてマイクロプラスチックになっていきます。
これらが海岸生物などに影響を及ぼしていることは、すでに研究でわかってきており、今後、島の生態系や私たち人間への影響も懸念されています。
美しい景観を守るために、健やかな海の環境を未来に残すために、拾い続けなくてはならないのです。
拾うことの先の課題
漂着ゴミの問題に向き合う時に、避けては通れない大きな課題が、回収したゴミの処理方法です。
漂着ゴミは、家庭ゴミと同じように扱えません。島内で焼却もリサイクルもできないため、回収されたゴミはすべて船で石垣島へ運ばれ、産業廃棄物として埋め立て処分されています。
せっかく多くの時間とお金をかけて回収したゴミが、ただ埋められてしまう現実。以前から、この状況を変えるために、環境に負荷をかけない焼却処理や、リサイクル、リユースにシフトすることが望まれていますが、検討に時間がかかっています。
それでも近年、技術の進歩や、海洋プラスチック問題への注目の高まりを受け、企業からのリサイクル提案が少しずつ寄せられるようになってきました。
私たちも、より良い処理方法を模索し続け、提案を重ねていきます。

西表財団の活動
○ アクセスが船に限られた地域でのビーチクリーン
「西表島の手つかずの海洋ゴミ回収プロジェクト」
○ マングローブ林の漂着ゴミ回収と普及啓発







