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「手つかずの海洋ゴミ回収プロジェクト」を実施しました。

  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

西表島南西部の陸からアクセスできない海岸には、何年も手がつけられていない漂着ゴミがたまっています。そんな深刻な状況を何とかしようと、立ち上がったのは西表財団理事の池田卓さんです。その提案をきっかけに、当財団では、2022年から「手つかずの海洋ゴミ回収プロジェクト」を実施し、地域のみなさんと一緒にこの問題に取り組んでいます。

今回は、5回に渡る今年度の活動の様子をまとめましたので、ぜひご覧ください。



1. 船でしか行けない浜の現状

白浜港からチャーター船で向かう先は、普段ほとんど人が足を踏み入れない浜。景色は息をのむほど美しいのに、浜へ降りると、現実が待っています。

浜辺には“新着”の漂着ごみが次々と入り、茂み(方言でユナ)の奥には、長い時間をかけて溜まり続けたゴミがぎっしり。見れば見るほど、「これ、取り切れるのか…」と途方もなくなる量です。

そんな中、「まずは、浜に打ちあがっているゴミから取っていきましょう!」と、池田卓さんからの声がかかりました。溜まり続けたゴミの山ももちろん気になります。けれど、私たちが一度に取り切れる量には限りがあることから、まずは流れ着いたばかりのゴミが再び海へ流れ出してしまわないように取っていこうという声かけです。優先順位をつけながら、参加者のみなさんと手分けし、各回約2時間、拾い続けました。



2. 5回の記録:114人・97袋

本年度は全5回開催し、延べ114名の参加者とともに、合計97袋(トン袋)分の漂着ごみを回収しました。参加者の多くは島内の方ですが、今年度は島外、県外からの参加者にもご協力いただきました。

実施場所は以下の5地点です。

  • 網取(11/17):17名・トン袋19個

  • 崎山(11/29):28名・トン袋22個

  • 鹿川(11/30):33名・トン袋9個

  • 船浮湾(1/15):11名・トン袋17個

  • 内離島(2/11):25名・トン袋30個

11月〜2月にかけての実施でしたが、天候に恵まれた回も多く、暑すぎず快適な気候のなかで活動できました。晴れた日の青い海と白い砂浜は、本当に気持ちがいい。


3. 旧集落を歩くと、ゴミの見え方が変わる

この事業の特徴は、ビーチクリーンに加えて、回収場所周辺の旧集落跡や古道などを歩く「地域資源再発見」の時間を組み込んでいることです。

各回午前中にビーチクリーンを終え、お昼休憩を取った後、船浮出身の池田卓さんに、旧集落や船浮集落の散策案内をしていただきました。この案内は、毎度参加者から大好評です。

歴史の話だけではなく、その土地で人がどう暮らし、自然とどう向き合い、何を大切にしてきたのか。卓さんの話は、文化・暮らし・自然が一本の線でつながっていく感覚があります。知識が膨大で奥深く、1時間ちょっとでは到底足りません。来年度も機会があれば、まだ参加されていない島内の方にもぜひ体験してほしい時間です。

不思議なもので、旧集落を歩いたあとに浜へ戻ると、漂着ごみが“ただのゴミ”に見えなくなってきます。

ここにあった暮らし、ここにあった時間、その上に今の問題が積み重なっている。そんな実感が残りました。




4.拾ったゴミはどこへ?

参加者の声で多かったのが、回収したゴミの「その後」についてでした。拾ったゴミはトラックで港へ運ばれ、さらに船で石垣島へ運ばれ、最終的には埋め立て処分になります。初めて知った方にとっては、かなりショッキングだったようです。

島で暮らしていると、いつの間にか「そういうもの」と慣れてしまいがちですが、改めて言葉にすると重い現実です。離島のごみ問題は、回収そのものと同じくらい、運搬・処理の仕組みとコストが大きな壁になります。


5. 続けるほど重くなる、運搬・処理・コスト

ビーチクリーンに関わるなかで、国内外から流れ着く海洋ごみの実態と、離島ならではの運搬・処理の難しさを現場で実感しました。特に回収後の処理体制やコスト面の課題は、活動を続けるうえで避けて通れないテーマです。

現在は補助金を活用して実施していますが、長期的な視点で見ると、これが“持続可能な体制”だと言い切れません。回収するほど、輸送費や燃料の負担も増える。だからこそ、次の一手が必要です。



6. 来年度へ:拾うだけで終わらせない、“自走化”と当事者づくり

最終回の内離島ビーチクリーンでは、石垣島でビーチクリーンを事業化し、行政や企業と連携して活動を展開されている縄文企画の田中さんから、アップサイクルや収益化の仕組みについて助言をいただきました。 来年度は、こうした知見も活かしながら、より自走可能な運営体制の構築を目指していきたいと考えています。 そしてもうひとつ大事なのが、「出てしまったゴミを拾う」だけでなく、「ゴミを出さない仕組み」を考えること。 島外・国外から流れ着くものが多い以上、簡単ではありません。それでも少なくとも島内では、ゴミが出づらい仕組みづくりや、発生抑制につながる情報発信はできるはずです。

海洋ごみ問題は、現場を見て、手を動かし、回収後の現実まで知ったときに、初めて“自分ごと”になります。世界自然遺産の西表島だからこそ、この問題を“見える化”し、多くの人に意識してもらう力もある。来年度もビーチクリーンと地域資源再発見のプログラムを軸に、まだ知らない人たちに届く形で、より感じやすい内容へ工夫しながら、この取り組みを続けていきます。






 
 
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